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『核を用いた戦術の真髄』その② 弁護士 堀 鉄平

核を用いた戦術の真髄 その② 弁護士 堀 鉄平

(①の続きです)

重要なのは、「持っている」素振り

我々弁護士も、クライアントの利益を守るために、
核兵器をちらつかせることはあります。

ある広告代理店の依頼で、かつて、
引っ越し見積もり比較サイト運営会社との
事業提携の交渉をする代理人を務めたことがありました。

提携の内容は、簡略化すると、
サイト運営者から、引っ越し見積もり比較サイトの顧客
(引っ越しを発注する人)に対し、
不要品の引取り・新品家具の販売・インターネット回線の開設
といった引っ越しに付随するサービスを宣伝してもらい、
そこから得られる代理店手数料をレベニューシェアするというものでした。

こういった引っ越しの顧客に対し、
アップセルする手法は当時画期的であり、
私のクライアントが考案したものだったのですが、
サイト運営者は、我々との交渉過程でそのノウハウを知るや、
自ら代理店となって手数料を独占しようという動きを見せてきたのでした。

この動きを察知した我々は、
すぐに核ミサイル発射の準備に入りました。

私は、サイト運営者の代理人に対し、
我々も同様の比較サイトを立ち上げる準備をしていること、
その比較サイトは引っ越し業者の登録もユーザーの利用も一切無料で、
したがってすぐに登録業者もアクセス数も最大規模のものとなるであろうこと、

インターネット上のSEO対策やリスティング広告により
同サイトを徹底的に上位表示させるつもりであることなどを伝え、
ただし、そのようなつぶし合い・消耗戦は本意ではないことも匂わせました。

まさに相手が核ミサイルを撃ち込むならば、
こちらもすぐに核ミサイルを撃ち込むと見せかけて、
お互いに核を持ち合う緊張状態を作り出したのです。

これにより、サイト運営者はこちらの企画に
タダ乗りするという行為に出ることができず、
無事に事業提携の交渉を進めていくことができたのです。

ちなみに、当時、私のクライアントは実際には
そのような新規サイトを立ち上げる準備などしておらず、
ある種の牽制のようなことをしたのですが、
交渉の手法として何ら違法ではありません。

実際に核兵器を持っていないにもかかわらず、
持っている素振りを見せて、
相手に信じ込ませるのも立派な交渉技術なのです。

皆さんも、日常の生活で核弾頭を持参して、
相手との駆け引きを自由自在に操ってみてはいかがでしょうか。

それでは今回はこのあたりで。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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