『公正証書遺言のススメ』その② 弁護士 齋藤 拓
(その①の続きです!)
4 公正証書遺言作成の流れ
ご自身が自ら公証役場に赴き,公証人と打ち合わせを重ねて,
公正証書遺言を作成することももちろん可能です。
しかし,公正証書遺言の作成を弁護士に依頼すれば,
弁護士は公証人との打合せや,必要書類の取り寄せなどを代わりに進めてくれますから,
遺言者は,弁護士からの手続きの進み具合の報告を受けながら,
遺言書を作成するときだけに,最低限の必要書類等を持って公証役場に行けばよいだけになります。
公証役場では,公証人は,原則として,遺言者に印鑑登録証明書を提出させ,
実印を持参させることにより,本人確認を行っています
(印鑑登録証明書に代えて,運転免許証等でも可能な場合があります。)。
その他の必要書類などは,弁護士に依頼していれば,
予め代わりに弁護士が提出してくれますから,改めて持参する必要はありません。
証人2人の立会いの下(証人は,公正証書遺言の作成を法律事務所に依頼しているのであれば,
その法律事務所のスタッフが務めてくれることが一般的です。),
遺言書の内容を確認するための読み聞かせなどの手続きを経て作成されます。
5 公正証書遺言の費用
公正証書遺言の作成手数料は、遺産の価格に応じた手数料がまず基準となり,
その他相続や遺贈を受ける人の数や,公証人の出張の有無,
公正証書の原本や正本,謄本の枚数などにより,総額が確定します。
たとえば,1億円の相続財産を妻に6000万円,
長男に4000万円を相続させる場合の遺言書の場合には,概ね8万円強となります。
一方で,遺言者が病気などにより公証役場に行くことができないために,
公証人が遺言者の下に出張して上記の公正証書遺言を作成する場合には,
概ね12万円程度に,公証人が要した交通費と日当(1日2万円,4時間までなら1万円)が
加算されて総額が決まります。
その他,公正証書の原本,正本,及び謄本には1枚当たり250円の手数料がかかるなど
(ただし,原本については法令により定められた枚数を超える場合にのみ手数料がかかります。),
細かい手数料が別途発生する場合があります。
また,弁護士に公正証書遺言の作成を依頼するのであれば,
別途弁護士費用として,10万円から30万円程度が必要になります(あくまでも目安です。)。
6 おわりに
このように,公正証書遺言は,自分で作成すれば費用がかからない
自筆証書遺言と比べれば,たしかに費用は高額です。
しかし,弁護士に公正証書遺言の作成を依頼した場合には,
最低でも公証人と弁護士の2名の法律の専門家が,
あなたの希望をできる限り実現できるような内容の遺言書を考えてくれます。
費用はかからないかもしれないけれど,
せっかく書いた自筆証書遺言が後々無効になったりトラブルを招いたりしたのでは本末転倒です。
公正証書遺言を作ることで,法的な確実性が高まり,
トラブルも相当程度避けられるのであれば,
上記のような費用も決して高くないといえる場合が多いのではないでしょうか。
もし,ご自身の相続に実現したいご希望があるのであれば,
公正証書遺言の作成を当法人にご依頼ください。