弁護士堀鉄平の交渉の奥義! “相手の感情を尊重せよ” その②
(その①の続きです!)
相手の興味、関心を探り、しかる後に条件面を
ところで、相手の感情を尊重すべきことは、
実は、感情とは無縁と思われがちなビジネスの場面でも当てはまります。
先日、あるリゾート会員権の営業マンが、私に対して、
都内の高級ホテルの会員権を販売しようと営業をかけてきました。
リゾートに興味があった私は、実際に現地を見に行ったのですが、
ホテルの仕様がクラシックであることに気付き、一気に興味を失いました。
私はモダンな建物が好きなのです。
ところが、その営業マンは、「今なら特別に入会金を割引します
(本来、割引は一切していないとのことでした)」とか、
「分割払いでも社内の決済を通します」等と、力説してきたのでした。
このホテルの会員権を欲しいと思っていない私に、
購入の条件のお話をされても、契約が成立することは難しいでしょう。
「欲しい」という感情を抱いて初めて、「金額がもう少し何とかならないか」とか
「一括だと厳しいな」という条件面への考えを巡らせることになるのです。
このような場合、営業マンとしては、
私の欲しいものは何かを探る必要がありました。
モダンな都内のマンションに住んでいる私に、都内のホテルを売るのは諦めて、
例えば地方の温泉付き別荘を提案するなどするべきでした
(実際、その業者は、全国に数十箇所の温泉施設を所有し、そちらの会員権販売もしています)。
まずは顧客の感情を尊重し、顧客の欲するものを時間をかけて調査し、
顧客にそれを提案することで「欲しい」という気持ちにさせておく。
それから、初めて販売条件の話をするべきなのです。
少し話が逸れますが、有能な営業マンは、
自分から押し売りのようなことはしません。
それは、「欲しい」という感情を抱いた顧客は、
自ら買いに来ることを知っているからです。
逆に、欲しくもない商品を営業マンの押しの強さだけで売ってしまうと、
後に顧客は不満に思い、その販売会社に対する悪評を生みかねません。
そういう意味では、相手の感情を尊重しないで売るくらいであれば、
売らない方がマシなのです。
以上要するに、交渉では、まず相手の感情を尊重する
→次に、条件等の論理的な話をするという順序が重要です。
自分がいま感情レベルの話をしているのか?
条件レベルの話をしているのか?について冷静に振り返り、
交渉相手のレベルと異なる話をしていると気付いた際は、
レベルチェンジする必要があります。
是非、皆さんも相手の感情を尊重しつつ、
相手との交渉を上手くまとめる技術を覚えて頂ければと思います。
それでは、今回はこのあたりで。
最後までお読みいただきありがとうございました。