弁護士堀鉄平の交渉の奥義!”勝負を有利に進める情報戦の駆け引き” その2
(その1の続きです!)
己の不利を情報開示する必要は無い
そこで、私はようやく間に入ることとし、次のように交渉を仕掛けました。
「秘書が何を言ったか存じませんが、幸い近くにキンコーズさんがありますので、
そこで印刷を依頼すれば当面の急場はしのげます。
なので、特に納品を急がなくて結構です。
急いで割高な商品を購入してしまっても後悔しますので。
我々は、10万円以上の商品を購入する場合は
複数の業者の相見積もりを取る決まりとなっていますので、
申し訳ありませんが、ギリギリの価格で再度見積もりを出し直してください。」
(本当は、キンコーズに依頼する手間などかけるつもりもなく、
相見積もりをゆっくりとっている時間などもない状況でしたが、
自分たちが料金が高くなっても購入せざるを得ない状況であるという
不利な情報は訂正しておく必要があったのです)
そうしたところ、どうしてもコピー機を売却したかった業者は、
「分かりました。80万円で結構です。
ですが、他の業者に相見積もりを取らないで、当社にお決めください。」
と譲歩してきたのです。
これに対し、私はすかさず、
「我々は、事務所のルールで10万円以上の買い物には
相見積もりを取ることを必須としています。ですが、
今回はやや急ぎという状況でもありますので、
60万円で明日中に納品してくれるのでしたら、御社に決めましょう」と
カウンターパンチを繰り出しました。
業者の方は、さすがに60万円という金額では無理だと拒絶しつつも、
「分かりました。うちで決めてくれるのでしたら、70万円で結構です。
その代わり消費税はお願いします。」とさらに譲歩してきたのです。
これに対して、私は、「では、73万5000円ですね。
明日中に間違いなく納品してください」と、30万円の減額に成功したのです。
納品を急いでいない=他の業者に流れるかもしれないという
先方に不利な情報を織り交ぜたおかげで、業者の譲歩を引き出すことに成功したのです。
交渉では、自分に不利な情報は伏せるのが鉄則ということを覚えておくとよいです。
それでは今回はこのあたりで。
最後までお読みいただきありがとうございました。