弁護士堀鉄平の交渉の奥義!『時間をフルに使いこなす達人への道』その①
さて、今回は、「時間をフルに使いこなせ!」ということを覚えていただきたいと思います。
戦いに勝つためには、試合開始から試合終了までフルタイムで戦略を練ることがとても重要です。
試合開始早々は勢いよくパンチの連打を叩き込んでも、すぐに疲れてしまって、
辛抱強くガードを固めてスタミナを温存した相手ボクサーから反撃を食らってしまって
逆転負けというストーリーはよくある話です。
試合に勝つことが重要なのであって、最短時間でKO勝ちを狙うのが目的でないはずです。
判定でも何でも、泥臭くてもよいので、勝つということにこだわるのが正解です。
時間をフルに使いこなすことで、短絡的な戦略ではなく交渉全体を通した
計画的な戦略を取れることは言うまでもありませんが、このほか、実は、
時間をかけることで相手の気持ちが変化するということの効果の方がより重要です。
三顧の礼という言葉をご存知でしょうか。
目上の人が格下の者に対して三度も出向いてお願いをすることを言いますが、
中国の三国志の時代に、後に蜀の太守となる劉備玄徳が諸葛亮孔明という智将を
どうしても配下に加えたいがために、何度も足を運んでその誠意を見せたということに由来しています。
劉備ほどの人物が、一書生に過ぎない孔明に二度もぞんざいな扱いを受けつつも、
それでも時間をかけてその誠意を伝えに三度赴いた姿勢に、
孔明もまた心を打たれ、臣下となることを快諾したと言います。
劉備が一度目の訪問ですぐに諦めたり、「無礼者!」と孔明に腹を立てていたら、
孔明が振り向くことはなかったことでしょう。
時間をフルに使いこなして、相手の気持ちを変化させ、辛抱強く目的を達成した一例です。
このようなことは日常や会社の社内問題でも頻繁に見受けられる光景です。
(その②に続きます!)