弁護士堀鉄平の交渉の奥義!『交渉の行方を左右する「目利き」術』その①
類型別、目利きのポイント
本日は、交渉における目利きの重要性をご紹介いたします。
目利きとは、もともと器物・刀剣・書画などの真偽・良否について鑑定することを言います。
交渉においては、人の才能・性格などを見分けることや、
物事の本質・勝負どころを見抜くことにも用います。
不動産売買の世界では、目利きのできる不動産業者が大きな利益を確保することになります。
ここで言う目利きとは、対象となる物件の価値を見抜くことができるかどうかです。
不動産業者が売主と買主の間に入る方法には、仲介をして仲介手数料を取得するパターンと、
自ら物件を買い取ってしまって、利益を乗せた上で転売先に売り抜けるパターンとがあります。
当然、後者のパターンの方が業者の利益は大きくなります。
仲介パターンの業者は、売主から売却の依頼を受けると、買主を探してきて、
うまく売買契約をまとめたうえ、仲介手数料を成功報酬型で受け取ります。
買主を探す際に折り込みチラシなどの広告を打つと、その分の経費がかかりますが、
買主が見つからなくてもその他のリスクを負うことはありません。
他方で、転売パターンの業者は、その物件が売れるかどうかの保証がない中で、
売り主から自ら物件を買い取ってしまいます。
当然、物件を買い取るより先に買主を見つけておいて、
買主から代金を支払ってもらうと同時に、
この支払われた代金の中から売主に対して購入代金を支払う業者もいますが、
買主が決まる前に、自ら代金を負担して(不動産の場合、億単位になることもしばしばです)、
売れないリスクを引き受ける業者もいます。
仲介の場合、仲介手数料の上限は物件価格の3%+αと決められていますが、
転売の場合、業者がいくら利益を上乗せして転売しても、基本的には自由です。
そして、目利きのできる業者は、
「この物件は、1億円で売りに出ているが、1億5000万円の価値がある」
「1億5000万円であれば、一か月以内に買主を見つけることができる」と
判断できるので、すぐに買い取る行動に出ることができます。
このように、目利き業者は、目利き技術を駆使して、
5000万円の利益を上げることができるのです。
(その②に続きます!)