弁護士堀鉄平の交渉の奥義!『交渉の行方を左右する「目利き」術』その②
(その①の続きです!)
反対に、目利きのできない業者は、
「売主は、『1億5000万円の価値があるが、早く売りたいから1億円でいいよ』と言っているが、
実際に売れるか分からない」となってしまい、
自分で1億円の代金を負担するリスクを負えません。
万一買主を見つけてきて、うまく仲介できたとしても、(売主のみの媒介をした場合)
手数料収入は300万円少々です。
ただし、このようなお買い得物件は、目利きのできる業者に一瞬で買われてしまうため、
仲介業者が入り込む余地はないのです。
そして、インターネットの売買物件情報にも一切出ることはないのです。
即決、そして行動
このように、目利きができるかどうかだけで、商機を掴めるか、
利益をいくら獲得できるのかに大きな違いが出るのであり、
不動産取引の世界では、その他の交渉術はあまり意味がありません。
かく言う私も、都内某所にお買い得一棟ビルを発見し、購入を検討していたのですが、
値下げ交渉のために「まずはこのくらいの金額から交渉をスタートして」と
指値で買い付け証明書を差し入れたところ(1億8000万円の物件に対して、
1億7000万円と札を入れました)、その翌日に満額で他の業者が買い取りを表明し、
あえなく撃沈した苦い経験があります。
余談ですが、その業者はその物件をリニューアルし、2億3500万円で売り抜けました。
目利きを身につける→即決する→行動するという訓練を積めば、
相手方のすべての交渉術を無にしてしまいます。
金持ちは、300円の価値しかないものに対しては、500円ですら支払うことはありません。
他方、3億円の価値があるものについては、2億8000万円という高額の支出でも、喜んで支出します。
藁しべ長者も、一本の藁をそれより価値あるものと次々に交換していき、
最終的には大金持ちになったのでした
(藁しべ長者は、良心から人助けをしていった結果として成功したのであり、
交渉のために目利きを身につけたわけではありませんが)。
それでは、本日はここまでとします。
最後までお読みくださりありがとうございました。