債権回収の第一人者!堀鉄平弁護士が教える!BtoCビジネスを成功に導く『債権回収』vol.28 禁止されている督促手法について その①
前回より、電話督促等の回収行為における「やってはいけない」事項について、解説をしております。
今回は、貸金業法21条1項で禁止されている残りの督促手法をご紹介します。
前提として、貸金業法は、貸金業者のみがこの法律の規制に服することになっていますが
(違反した貸金業者は、刑罰を受けることになります)、
貸金業者でない債権者が、貸金業法21条1項の各号に違反した場合には、
刑事罰は受けないにしても、民事上の不法行為責任を負って、
慰謝料等の支払いを命じられる可能性はありますので、注意が必要です。
・勤務先等に対する取り立ての禁止(同3号、4号)
貸金業法第21条1項3号は、正当な理由なく、貸金業者が、
債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所に電話をかけることを禁止しています。
その他、電報やファックスの送信・訪問も禁止しています。
勤務先等に圧力をかけることで、弁済を要求することを防止する趣旨です。
また、同4号によれば、さらに、債務者等から訪問場所から退去してほしいとの
意思が告げられた場合には、当該場所から退去しなければなりません。
これは当然のことであり、従わない債権者は場合によっては
刑法の不退去罪に該当してしまう場合もあります。
・借入の事実等を第三者に明らかにすることの禁止(同5号)
貸金業法21条1項5号は、はり紙、立看板その他、いかなる方法であっても、
債務者の借入れに関する事実や、債務者等の私生活に関する事実を
第三者に明らかにすることを禁止しています。
これも当然のことであり、従わない債権者は場合によっては
刑法の名誉棄損罪に該当してしまう場合もあります。
・資金調達要求の禁止(同6号)
貸金業法21条1項6号は、貸金業者が債務者に対して、
弁済資金を家族や親族、友人・知人、勤務先・他の金融機関などから借り入れろ、
と要求する行為を禁止しています。
借金してまで支払うように要求する行為は、
債務の返済が困難な債務者に新たな債務を負わせることによって
さらなる苦境に立たせることになりますので、不当な行為と言えます。
もっとも、債務者の側から借入するという発言が出た場合に、
それを拒否する理由はありません。
(その②に続きます!)