弁護士堀鉄平の交渉の奥義!『相手を納得させる起承転結(ストーリー)』その①
「とどのつまり」に至る背景を
本日は、ストーリーを語り交渉せよ!という技術をご紹介します。
「とどのつまり」という言葉があります。
ボラは成長するとともに名称が変わり、最後にトドという名になるところから、
「いきつくところ」とか、「結局」という意味で使われます。
争いごとには、双方に言い分があって、
その言い分について証拠を示しながら互いに主張していくことになるのですが、
とどのつまり「~~ということである」と、
物事の背景事情を明確にし、ストーリーを語った方が説得力が増します。
例をあげましょう。
私の依頼者がビル所有者で、工事会社に内装工事を発注したのですが、
後から工事代金の追加を請求されて困っている人がいました。
当初の工事代金5000万円は支払済みで、引き渡しも終えた後になって、
追加工事代金が2000万円かかったなどとして請求されていました。
しかも、その2000万円の債権を譲り受けたという下請会社から請求されているとのことでした。
工事会社の言い分は、追加工事について明確な契約書はないものの、
レイアウトの変更やら壁紙・造作のグレードアップをしたのであるから、当然請求するというものです。
他方で、私の依頼者の言い分は、確かに追加で作業してもらったが、
サービスでやってもらっている認識であったというものです。
このケースでは、追加工事について代金支払いの合意があったか
(仮にあった場合の金額はいくらか)が争点になります。
一般的な弁護士がこの施主の代理人となれば、
①追加工事の契約書がない、
②引き渡しの後になって2000万円の請求が初めて出てくるのはおかしい、
③他に追加代金が必要な工事については、
別途見積もりをもらってから発注書などを取り交わしているのに、
本件ではそれがない
等と主張して、追加契約を否定するよう裁判で主張していくのでしょう。
(その②に続きます!)