『自転車利用に関する法改正について』 その① 弁護士 森川 友和
Ⅰ 道路交通法の改正
近年の道路交通に関する情勢に対応するため、道路交通法の一部が改正され、
改正道路交通法が平成25年6月14日に公布されました。
この改正では、一定の病気等に該当する運転者への対策や悪質・危険運転者への対策のほか、
自転車利用者への対策が内容とされています。
このうち、自転車利用者対策に関する改正部分は、平成27年6月1日に施行されました。
今回は、この自転車利用者に対する新たな規制内容についてご説明致します。
(以下では根拠となる法律も適示しますが、道路交通法を「法」、道路交通法施行令を「令」、
道路交通法施行規則を「規」と表記します。)。
Ⅱ 自転車運転者講習の新設
今回の改正のポイントは、一言で申し上げれば、平成27年6月1日から、自転車の危険行為に対し、
有料の安全講習受講が義務付けられた点となります。
具体的には、
①14歳以上の自転車利用者が、
②危険行為を繰り返し、
③3年以内に2回摘発された場合には、3か月以内に安全講習(自転車運転者講習)
を受講することを命じられることになります(法第108条の2第1項第14号、法第108条の3の4)。
この安全講習受講命令に違反し、安全講習を受講しなかった場合には、
5万円以下の罰金が定められています(法第120条第1項第17号)。
安全講習(自転車運転者講習)は、違反者に応じた個別的指導を含む3時間の講習を内容とし(規第38条第14項)、
受講手数料として5700円が徴収されます(令第43条第1項)。
なお、自動車の場合は、軽微な交通違反の場合には、
一定期日までに反則金を納付することで公訴を提起されない(裁判手続きをとられない)交通反則通告制度がありますが、
自転車運転者講習については、講習を受講することで公訴を提起されなくなるものではありません。
Ⅲ 危険行為の内容
自転車運転者講習の受講を義務付けられる自転車の危険行為は、次の14行為です(令第41条の3)。
危険行為は、自転車交通事故の原因となった交通違反のうち、比較的多い違反類型を取り上げており、
危険行為に挙げられている行為だけを遵守すれば足りるものではありませんので、その点は注意が必要です。
例えば、自転車においては、交差点右折時、いわゆる二段階右折をしなければなりませんが、
危険行為には二段階右折の違反行為は含まれていません。
(その②に続きます!)