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『核を用いた戦術の真髄』その① 弁護士 堀 鉄平

『核を用いた戦術の真髄』その① 弁護士 堀 鉄平

「目には目を」の精神を超えて

 

さて、今回は、「核には核を」という交渉の技術をご紹介いたします。

古代ハンムラビ法典の「目には目を、歯には歯を」という言葉は
ご存知の方も多いと思いますが、これは相手から損害を受けたときに、
被った損害以上の報復をしてはいけないという拡大報復の禁止の戒めです。

怒りやその場の感情にまかせて何倍もの報復を行なうのではなく、
それ相応の罰で相手を許しなさいということなのです。

現代では、「やられたらやり返す」という意味で
慣例的に使われていますが、本来は誤用です。

このように、「やられたらやり返す」という趣旨は、
本来の「目には目を」の教えにはないのですが、
国家レベルで大事な交渉の場面では、テロに対する軍事力行使のように、
この趣旨が貫かれることはよくあります。

また、もう一歩進んで、「やるならやり返すよ」という
趣旨の交渉術を駆使する国もあります。

自国の核兵器に対する査察を一切拒否し、
そちらが武力行使を仕掛ければ、
こちらも核ミサイルを発射することになり、
お互い滅亡することになるよという交渉です。

この「核には核を」という交渉術は、
極度の緊張感を利用した脅しとも言える駆け引きなのですが、
駆け引きである分には有効な戦術であると言えます
(駆け引きを超えて、実際に発射してしまっては
元も子もないことは言うまでもありません)。

 

(その②に続きます!)

 

 

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