弁護士法人Martial Artsの『EC相談室!』サイトコンテンツの「パクり」にどう対応する?その③ / 弁護士吉新拓世
(その②の続きです!)
第5 権利が侵害された場合の対処方法
1 内容証明郵便の送付
これまでご説明してきたところを検討して,
貴社の著作権が侵害されているといえる場合には,
盗用している者に対して,盗用を止めるように請求していくことになります。
具体的には内容証明郵便に,どのウェブサイトのどの部分が,
貴社の権利を侵害しているのかを記載し,即座に削除するように記載して送付することになります。
損害賠償を求めるのであれば,具体的な損害の金額や振込先等を記載して,送付することになります。
なお,内容証明郵便の発送方法等については,次のホームページをご参照下さい。
https://www.post.japanpost.jp/service/fuka_service/syomei/(郵政事業株式会社HP)
盗用を止めさせることだけが目的なのであれば,内容証明郵便を送付することによって,
相手が該当部分を削除し,対応を終了できる場合も多くあります。
一方で,内容証明郵便を送付しても,削除してくれない場合や,
損害賠償に応じない場合には次のステップに移ることになります。
2 民事訴訟
内容証明郵便を送付しても,削除に応じない,
損害賠償に応じない場合には,裁判を起こすことになります。
裁判を起こす場合には,専門的な準備が必要になりますので,弁護士にご相談いただくのが確実です。
ちなみに,損害賠償請求をしたとして,結局どれくらいの金額が認められるのかが気になると思います。
例えば,写真の著作権者(写真等の素材提供会社)が,
勝手にそれらの写真をウェブサイトに利用していた相手を訴えたというケースでは,
写真1枚について正規料金である4万2000円を損害額とした裁判例があります
(東京地裁平成27年4月15日判決)。
3 刑事手続
一部の例外を除き,著作権を侵害した者に対しては,刑事罰が定められています。
刑事罰を課すことを求めるためには,捜査機関に対して告訴状を提出するなどして捜査を求めることになります。
但し,実際には,捜査機関のマンパワーの問題で,
捜査する事件を重大なケースや証拠が揃っているケースに絞り込む傾向があります。
ですから,ホームページが丸々そのまま盗用されたなどというケースであればともかく,
盗用された部分が一部分であるとか,そのまま盗用されたわけではなく一部修正したうえで盗用されていて,
刑事裁判で勝てるだけの立証が難しいケースなどでは,
なかなか告訴状を受理してもらえないケースも想定されます。
以上,最後までお読みいただきありがとうございました。
次回のコラムをお楽しみに!