弁護士堀鉄平の交渉の奥義! “相手の感情を尊重せよ” その①
まずは真摯に怒りを受け止める
さて、今回は、交渉の奥義として、
「相手の感情を尊重せよ」という技術をご紹介いたします。
人間は、感情が高ぶった状態では論理的な話し合いができないのが通常です。
したがって、感情的になっている相手と交渉するに際しては、
まずはその感情をなだめることが先決です。
例をあげましょう。
私は弁護士として、刑事事件を犯した
被疑者・被告人の示談交渉を代理することがありますが、
示談交渉の相手は、痴漢に遭った女性被害者、
暴行を受けて傷害を負った被害者、交通事故で息子を失った親族などです。
このような被害者・遺族に対して、被告人の形ばかりの謝罪文を手渡したり、
「示談金として○○円用意します」などと切り出しても、
すんなり示談がまとまることはありません。
被害者や遺族は怒っているのです。
その怒りの感情を無視して、
金額等の条件面の話を進めてみても、
感情が高ぶっている相手には聞く耳を持ってもらえないのです。
こちらに非がある示談交渉の現場では、
まず、とにかく相手の怒りを真摯に受け止めることが先決です。
相手の気持ちが落ち着くまで、相手の話をよく聞き、
「あなたには何も落ち度はないにも関わらず、
本当に申し訳ないことをしてしまいました。
お怒りになられるのは当然です」と共感するのです。
このような相手の感情を尊重する過程を経て初めて、
相手は冷静な心理状態となりますので、
その後に示談の条件の話に移行することが交渉のポイントです。
(その②に続きます!)