弁護士堀鉄平の交渉の奥義!『敵の戦力を分散させる極意』その②
(その①の続きです!)
ハッタリもまた、効果あり
このような不誠実な債務者に対しては、
事前に差し押える対象を予告してあげる必要などありません。
「こちらは御社の資産をいくつか把握しています。
約束通りお支払いいただけない場合は、粛々と法的手続きを進めるほかありません。
その場合は、最も回収額の大きい資産に対して差押えをかけることになりますよ」として、
何を差し押えるかをあえて言わないことが重要です。
そうすると、何を差し押えられるか分からない債務者としては、
全ての財産を隠すことも難しいですので、防御の仕様がなくなってきます。
もしかしてあの隠し財産がばれているのか?
など、内心とても焦るでしょう。
「愛人のマンションを競売にかけられたら最悪なので、さっさと支払ってしまおう」
という気にさせることもできるかもしれません。
まさに、どこを差し押えられるかを分からなくさせることで、
相手の注意を分散させ、相手の交渉力を10分の1に減殺するのです。
ちなみに、このように差押えをチラつかせるにあたっては、
実際に相手の資産を把握していない場合であっても、
いわば「ハッタリ」をかますこともあります。
「何とは言わないが、情報ありますよ」と告げられれば、
相手はとても不気味です。
三国志の時代に、ある武将が自軍の足軽隊に鉄の重りを付けさせて、
草むらを前後左右に歩かせることで、大勢の兵隊がいるような足音を作り出し、
自軍を実際よりも大軍に見せることに成功しました。
その結果、自軍より数の多い敵軍を疑心暗鬼にさせ、
撤退させることに成功したのです。
それでは、今回はこのあたりで。
最後までお読みいただきありがとうございました。