債権回収の第一人者!堀鉄平弁護士が教える!BtoCビジネスを成功に導く『債権回収』vol.13~督促架電の段階的対応のコツ 中期対応編~
前回は、自社督促時の督促架電の初期対応について解説しました。
本日は中期対応についてです。
初期対応時にクレームとなった債務者に対して適切な対応を完了していれば、
残る問題は「代金を支払ってもらっていない」という点だけです。
現在既に契約違反状態にあり、
「至急支払われなければならない」ということを交渉のスタート地点にすることで、
債務者の身勝手な主張を防ぎ、交渉のペースを握ることができます。
このような契約違反状態が明確となった
債務者に対する架電対応のポイントは3つです。
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①事の重大性を認識してもらう
②ムチとアメを使い分ける
③債務者の現状を聴取し、支払いやすい方法を提案する
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まず、①はとても重要です。
単に「○○円の未払いがあるので、お支払いただけますか?」と
お願いするだけでは、債務者はこの種の督促電話に慣れっこのケースが多く、
「今お金がないので、用意できるまで待ってよ」などと
交渉の主導権を握られてしまいます。
そうしているうちに、より督促の厳しい他社への支払いを
優先されるということはよくあります。
そこで、債務者に支払いについて本気で考えてもらうために、
以下のようなトークをする必要があります。
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・今回の未払いが社内で問題になっている。
・このままだと担当者や部署が代わり、柔軟な対応ができなくなる。
・1日でも支払いが延びることで、遅延損害金が加算され、支払い総額がどんどん増えていく。
・弁護士委託や法的手続きに移行する場合もある。
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次に②のアメとムチです。
交渉術としてアメとムチの有効性は広く知られていますが、
実際には、ムチ→アメの順で使います。
何とか支払い意思を持っている債務者でも、
現実問題、債務の全額を即時一括で支払うのは難しい場合もあります。
そのような場合は、
①の事の重大性を伝えるだけでは不十分で、
何らかの譲歩(一部減額、支払期限の延長、分割払いなど)をすることになります。
ただ、このようなアメを最初から債務者に与えてしまうと、
債務者から舐められることは必至です。
「この会社は多少の遅れがあっても許してくれる」
との印象を持たれてしまいます。
ですので、まずは①事の重大性を十分に伝えて(ムチ)、
その後に、譲歩案(アメ)を出すのが効果的です。
具体的には、以下の対応です。
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・具体的な支払いの約束をしてもらうことを条件に、
一定期間支払いを猶予したり、分割払いに応じる。
・約束通りに支払いがなされるのであれば、
担当者や部署も変わらず、弁護士委託や法的手続きにも移行しない。
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最後に③です。
以上のように、ムチ→アメで何とか支払いの話になった際にも、
安易にアメを与えてはいけません。
未払いとなっている債務者、
一括払いは原則なのですから、例外を認めるのであれば、
お金が用意できない事情を具体的に説明してもらいましょう。
具体的には、以下の聞き取りが必要です。
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・就業しているかどうか
・その場合、給料日と金額、あるいは自営業であれば、業種や入金の形態(現金商売かどうか)、時期
・就業していないのであれば、年金・手当等の受給の有無、支給日
・収入があるにもかかわらず、支払いできないのであれば、その具体的理由
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このような聞き取りを経て、
例えば、「給料日が25日でしたら、毎月26日を返済期限としておきますね」とか、
自営業で現金商売であれば、「月に1度大きい支払いをするよりも、
月3回に支払期日を分けて分割にした方が支払いやすいですよね」などと提案します。
こういった配慮で回収率は上がっていきます。
本日はここまでとします。
次回は、「電話に出てくれない債務者に対する対応法」について解説していきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。